Actors Essays #001

映画『死んでもいい』
初ブルーレイ化によせて

室田日出男と、
石井隆と、
映画『死んでもいい』
のこと。
<其の伍>

しかし不肖飯島、大竹さんと
確かにマイク一つでデュエットして居ります。
長い年月の間に混濁した記憶違い?
…それは断じて御座いませぬ。

前述通り本編では
歌唱部分はカットされて居りますが、
よく、よ〜く見ると、
何故か、何故か、
不思議なことに
大竹しのぶさんが
大人数の宴会客のどこかに
写り込んで居るはずです。
心霊映画か、背後霊か、将又守護霊か
…これぞ石井マジック!!!!

其の真相は此の度発売された
HD高画質のブルーレイにて
目を皿のよふに眺めて是非ともお確かめ頂きたい。

先日、三回忌を前に
石井隆監督と奥様千草さん、
そしてご両親が眠る霊園に墓参しました。
墓前に並べた盃に
かつて石井夫婦が好んでいた銘酒を注ぎ、
手を合わせて献杯しますと
日経新聞の追悼記事(2022年6月)
遺された言葉が脳裏に浮かんだのです。

「作るからには映画でありたい。
映画ならではのものを作りたい。
テレビでもインターネットでもない映画。
今もそんな思いでいる僕は
絶滅危惧種なんでしょうね」

石井隆らしい謙遜混じりの言葉で
自らを絶滅危惧種と言わしめながら、
全身全霊を映画に捧げた人柄を
忘れることなど一日たりとも無ひのです。

記、大介拝。

場面写真:映画『死んでもいい』より 
© サントリー/日活/ムービー・アクト・プロジェクト


Written by 飯島 大介  プロフィール

*飯島大介さんの原文や証言を基に、一部の記述について当時の作品関係者への取材など、事実関係を考証して補筆しております。 (補筆:はたぼー)


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死んでもいい 【Blu-ray】

発売日:2024年05月10日
発売元:中央映画貿易、ダブル・フィールド
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
協 力:有限会社ファムファタル

1992年/日本/カラー/1992年10月10日公開
Blu-ray1枚組/MPEG4 AVC/本編117分(16:9ビスタ・1080p Hi-Def)・映像特典28分(4:3スタンダード)
英語字幕(ON/OFF)/音声リニアPCM2.0ch(モノラル)

●映像特典:貴重な「撮り下ろしインタビュー映像:大竹しのぶ/岡田 裕プロデューサー/石井隆監督」(25分/2000年収録)に加え、新たに発見された石井監督直筆、撮影時に使用された絵コンテを本編全シーン248ページを静止画として収録。 ●封入特典:撮影当時、石井監督が雑誌上に連載していた「死んでもいいとも日記」を再録。その他貴重な記事を掘り起こしたキネマ旬報特別編集ブックレット(32ページ)。

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