Actors Essays #001

映画『死んでもいい』
初ブルーレイ化によせて

室田日出男と、
石井隆と、
映画『死んでもいい』
のこと。
<其の肆>

実は其の前の石井組作品
『月下の蘭』(1991年)の時に
プロデューサーとして参加していた小橋孝裕氏とは
親しくしていた縁で出演打診がありました。
石井隆監督との初対面は
別稿にて申し上げましたが、
映画『ラブホテル』(1985年・相米慎二監督)の打ち上げです。

気鋭の脚本家から
監督に成られたと存じていた私は
石井組に強く参加を願っていたのですが、
他の俳優に決まったとのことで
石井組初出演は叶わなかった
といふ経緯が有りました。
今も其の時に小橋氏から貰った
『月下の蘭』台本は大切に持っております。
もしあの時に出演して居たら、
石井監督とのお付き合いも早まって居たに違いないでせう。

さて石井組初出演の話に戻ります。
『死んでもいい』の台本には
室田演じる英樹と絡む台詞一つの役でした。

台本ではほんの数行だけ書かれたシーンにも関わらず、
本番が始まると勝手に酒を注ぎ回って
場を盛り上げているうちに
大月のれん会(商店街)の連中を演じる
俳優たちや、
エキストラ全員からイケイケ〜と
焚き付けられて、
アドリブで舞台に上がり
大竹しのぶさんとデュエットまで歌って仕舞いました。

室田の父っつあんと大竹さんは
舞台『奇跡の人』で共演して居たから、私も旧知の関係。
何の曲を歌ったかは覚へて居りませんが、
たぶん何かの歌謡曲だったよふに思ひます。
事前に断りもなく宴会場にあったカラオケの中から
勝手に歌った曲ですから
著作権の問題もあったでしょう、
完成した本編では歌唱部分は
全部カットされて幻のシーンに成って仕舞いました。

否、ここで
熱心な石井隆ファンの方々なら気がつくでせう。

ストーリー上、宴会のシーンには
大竹さんの出番は無ひはず!と。
そう、大竹さんさん演じる名美は宴会に出ず、
一人で宿部屋に篭って居たはずです。

写真:映画『死んでもいい』決定稿より 飯島大介氏出演シーンの記述


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刮目せよ、石井マジック!!!

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Written by 飯島 大介  プロフィール

*飯島大介さんの原文や証言を基に、一部の記述について当時の作品関係者への取材など、事実関係を考証して補筆しております。 (補筆:はたぼー)


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