Actors Essays #001

映画『死んでもいい』
初ブルーレイ化によせて

室田日出男と、
石井隆と、
映画『死んでもいい』
のこと。
<其の弍>

さて、大竹さんの土屋名美と
ひとまはり違う旦那役・土屋英樹を演じるは
オフィスダイニチのホープ、室田日出男です。
東映ニューフェース第4期で佐久間良子さん、
山城新伍さん等と同期デビューの役者でした。
因みにオフィスダイニチとは、
室田日出男と飯島大介が
互いの名前を取り合って命名し
スタートさせた事務所です。

室田氏との初めての出会ひは
大島渚監督作品『戦場のメリークリスマス』(1982年撮影、1983年公開)の現場でした。
ニュージーランド近くのクック諸島に有る
ラロトンガ島でお合ひして、
その晩から室田氏、ジョニー大倉氏、美術監督・戸田重昌氏と
初対面で大盛り上がり。
皆様お酒好き、喋くり好き、現場好き、毎晩の盛り上がりから室田氏と意気投合。
帰国して新宿でまた呑むうち二人で事務所を起こす約束を交わしたのです。
格上の大役者ながら、無名に近い私を志を同じくする役者として認めてくださり、
共に鎬を削りました。

脱線した話を戻しますと、
『死んでもいい』土屋英樹の職業は不動産屋。
室田本人に近付いて居た
役のよふにも感じて居ます。
石井隆監督が室田に
当て書きしたような感じも無きにしも非ず。
石井監督は若い頃『0課の女 赤い手錠』
(1974年・野田幸男監督)をはじめ、
昔の東映映画で室田をよく観て居たそうです。
室田が持つ男っぷりの中から
両手に余るほどの優しさを引き出した英樹役は
監督の望んでいた配役だったのかな、
演出の狙いであったのかなと思ひ至ります。

場面写真:映画『死んでもいい』より 
© サントリー/日活/ムービー・アクト・プロジェクト


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三つ巴クライマックスの死闘で起きたハプニング?!

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Written by 飯島 大介  プロフィール

*飯島大介さんの原文や証言を基に、一部の記述について当時の作品関係者への取材など、事実関係を考証して補筆しております。 (補筆:はたぼー)


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