Random Talk #001

「石井隆監督との出会い」

  中山 峻の場合

映画『GONIN2』(1996) 打ち上げの夜。

ワカゾウだった宝石強盗犯の役者達   
主演の緒形拳さんには「もっと勉強しろ」と叱咤の言葉を貰ったが、
石井監督はこっちを見てもくれないし、何も言ってくれない…。

居場所なく会場の隅っこで小さくなっていると
「何も食べてなくてお腹空いてるでしょ。」
と千草さん。
石井組初めての自分達を中抜けさせて、
へぎそば屋に連れて行ってくれた。

忘れない、あの美味しさ。

千草さんがささやく。
「石井はあんなだけど、役者さんが大好きなのよ。」

初号を観ると、まだまだの役者達なのに
自分達の演技がった以上に観える映画だった。
自分以上の自分を、あのやるせないと感じた以上に
グッと映える演技に魅せてフィルムに焼き付けていてくれた。

あれからずっと、そんな自分達は
ただ石井監督に褒めて貰いたくて、り続けて   
今もそれぞれの芝居の現場でもがいているのに。

まだ褒めて貰えてないうちに…。

あーあ、
答えが出ずに、り続けなくちゃいけなくなった。

まっいいか。
^_^

* 注釈)「千草さん」とは石井隆監督初恋の人にして、その創作を支え続けた奥様のこと。


Written by 中山 峻  プロフィール