竹中直人さん

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≪今回のコメンタリー収録について≫

竹中:昔の記憶がかなり蘇りました(笑)。月日が経つのはあっという間だなという感じでしたね。公開当時に劇場で、自分で自分の芝居を見るのは照れくさいし、それは未だに怖いです。でもこれだけ月日が経つとなんか受け入れられるというか。

≪劇画作家だった頃からファンだったという石井監督について≫

竹中:エッチでしたからね。はじめて目にした時、「なに、この画!」って、とても衝撃的でした。ずっと焼き付いてます。子どもの頃、海に行くと廃船の中にエッチな本がいっぱい捨ててあって、たまたまそこで石井さんの画を見て、すげーって思ったのが最初の出会いです。そこから映画「赤い眩暈」で初めて本人に出会いました。

≪「赤い眩暈」への出演のきっかけについて≫

竹中:青年座の事務所に入って行って、何か仕事はないですかと話しているとき、ごみ箱に「ヌードの夜」というタイトルの台本が捨てられていたんです(※「赤い眩暈」の元タイトル)。いいタイトルだなと思い、拾い上げてめくってみると、監督、脚本、石井隆と書いてあった。「これ、誰に来た話!?」って聞くと、「竹中だよ。ロマンポルノなんてやらないでしょ」って言いやがる。俺は「やるやるやる!!」って言ったんだけど、「もう断っちゃったよ」って。
「いや、そんな! 復活してくれ!」ってお願いしたのが最初ですね。

≪石井隆監督について≫

竹中:全然変わってないですね。「GONIN サーガ」(15)のときの監督の演出する姿はこのときと全く変わってないです。映画を大好きな青年が監督になったっていう思いは、何十年経とうが、この「赤い眩暈」から「サーガ」まで同じですよね。この時の石井さんと、今の現場の石井さんは本当に変わってないです。佇まいというか、醸し出している雰囲気も。

≪「赤い眩暈」での石井監督の現場について、役作りについて≫

竹中:僕は役作りという言葉が大嫌いなんです。役は監督のまなざしで動かされていくものだと思います。
石井さんが僕を信じてくれているということに動かされていった。監督のまなざしに応えたいというのが、たまたま役を生んでいくと思います。それから完成して、人に観られることで初めて作品になる。役は観た人がそれぞれの人生の価値観で作られていくと思います。
僕はこの作品に出会えて本当によかったと思います。なかなかそういう作品にめぐり会うなんてことはない。
ずっと心に残っているものが、30年近く経ってブルーレイという形になった。フィルムの雰囲気も醸し出しながら。
ステキだなって思いました。

竹中直人さん

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≪ロマンポルノの特徴、オールアフレコについて≫

竹中:あとから声をつけていくというのはおもしろい作業で僕は好きです。ただ、普通は濡れ場になると、助監督が女優さんを触って、女優さんが「あ~」って声を出したりするんですが、石井監督がそれじゃだめだってことになり、もう1回やってくださいと言われたときは異常な興奮を覚えました。
自分たちの映像を見ながら、キスシーンになるとキスをするとか。これはすごい世界だって。ロマンポルノに出演しない限り、特殊な性癖でもなければ、そんな経験はできないですからね。たとえようのない興奮でしたね(笑)。

≪ロマンポルノの魅力について≫

竹中:単純にエッチだっていうので観に行っていただけなので。なんかすげーなって言いながら友達と。 生々しかったですね。まさか自分が出ることになるとは思ってもいなかった。 日活ロマンポルノといったら、単純にポスターを見て、おー!とか言っていた感じです。でも今回、ロマンポルノが復活したという話も聞いたので、また石井さんと新たなロマンポルノを撮れたら嬉しいなって思いました。

≪『天使のはらわた』シリーズの初ブルーレイ化について≫

竹中:今はさらに時間の流れが速くなっちゃってどんどん新しいものが出てきますよね。去年のものなんて、すぐに昔のものになってしまう。だからこういう形でブルーレイが出るというのは、また新たな出会いにもなりますよね。

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